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[鉄道感想本] 神奈川臨海鉄道配線略図 増補版 (配線略図.net) [国鉄残映]

先日当ブログ ([鉄道感想本] 京葉臨海鉄道配線略図、神奈川臨海鉄道配線略図・鶴見線貨物回顧) でご紹介した、配線略図.netさんの「川崎貨物駅・神奈川臨海鉄道配線略図」の増補版である、「神奈川臨海鉄道配線略図 増補版」が出たのでAmazonで購入しました。

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神奈川臨海鉄道配線略図 増補版

神奈川臨海鉄道配線略図 増補版



内容説明:
配線略図.net書籍第7弾は神奈川臨海鉄道です。本作でも徹底した現地調査・文献調査をもとに、各路線の現在と1980年ごろの配線略図を掲載しています。また、現在・過去に存在した全専用線の配線と現状の調査を行っています。

以前の書籍でも紹介した神奈川臨海鉄道浮島線千鳥線については全面的な再調査を行いました。また、本作では新たに神奈川臨海鉄道本牧線の配線略図を収録しています。

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巻末には、2019年度の相鉄・JR直通線計画で注目される貨物駅、横浜羽沢駅の現地調査レポートを収録しています。

収録配線略図:
神奈川臨海鉄道浮島線・千鳥線・本牧線(現在・1978-83年時点)
神奈川臨海鉄道水江線(接続専用線を含む)・日本鋼管専用鉄道塩池線(2015年時点・1979年時点)
横浜羽沢駅

仕様:
B5判 本文カラー4ページ、白黒40ページ

感想:
前号「川崎貨物駅・神奈川臨海鉄道配線略図」で取り上げられた、神奈川臨海鉄道浮島線千鳥線水江線に加え、本牧線が追加された内容になっています。



掲載されている写真は、2018年10月・11月現在のもので現状を知る上で大変貴重なレポートでとても読み応えがある内容でした。

また、前回取り上げられている水江線が2017年9月30日に正式に廃止されてしまったので読み比べてみるといいと思います。(2018年2月のYahoo!ニュースで知りました、ソース元は以下です)

水江線ひっそり廃止 昨年9月、道路拡幅の用地提供で・川崎 (カナロコ by 神奈川新聞)

本牧埠頭駅の発着線・荷役線

以前「ブラタモリ」(NHK)で1969年 (昭和44年) に開業した本牧線の本牧埠頭駅を訪問していました。

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(ブラタモリ 第2シリーズ・第6回 横浜 港湾編 [2010年12月2日放送分]より)


現在の本牧埠頭駅には荷役線は3線しかありませんが、

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本紙に掲載されていた線略図を見ると最盛期には発着線・荷役線として8本あったことがわかりました。当時の航空写真を見てみるとC突堤の奥の方までレールが延びていた事も確認できました。

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[左: 1974年~1978年 / 右: 2007年] (出典: 国土地理院)


1988年~1990年に撮影された航空写真には既に無くなっており、現在の配線になってようです。(廃止された時期は不明)

国際埠頭専用線 (構外側線) の復活への考察

最近いくつかのブログで際埠頭専用線へ続く現在休止中の構外側線で再整備 (レール・枕木の再敷設) されている、復活するのでは記事を見ました。

その根拠として2017年に建設通信新聞Digitalで「横浜市/南本牧に新貨物駅検討/オリコンサルで可能性検証」という記事に掲載されたそうです。(2019年3月現在、記事は消されています)

このような事から国際埠頭専用線 (構外側線) が復活するのではという内容でした。

現在、以下の図のように奥にある南本牧埠頭MC-4 コンテナターミナルを建設しています。(2019年度内完成予定)

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しかし、「神奈川臨海鉄道配線略図 増補版」内のレポートでも道路と交差している部分は線路はアスファルトに埋められているし、このような事から本誌にも『配線略図上は「線路がつながっていない」とみなしている。』と記載されています。

実際は復活・再活用はどうなんだろうとググってみました。答えは、はまれぽ.com の「海辺にたたずむ「使用中止」踏切は何のため? 塩を運んだ中区かもめ町の線路を辿る -」の記事の中にありました。

横浜港を管理する横浜市港湾局物流企画課へのインタビューを見ると

まず、昨今の構外側線の再整備については、「現在の『はま道路』を作る際に、レールの位置をずらしたんです。道路が高架になったことで、一部を戻したのが現状になります」との事で工事が終わったから、元の状態に戻したとの事。

2017年に建設通信新聞に掲載された「横浜市/南本牧に新貨物駅検討/オリコンサルで可能性検証」という記事についての答えもありました。「現状では、すぐに貨物線を利用してどうこうということはないです。鉄道も含め、大量の輸送が可能かどうかを検討する必要はあります」との事。新貨物駅どころではなく、鉄道の利用については検討をする程度というのもわかりました。

物流の業界紙である日刊CARGOの「横浜港特集2018」(PDFファイル) に前出の南本牧ふ頭のMC-4 コンテナターミナルの建設前倒しを含めた湾岸開発について詳しく書かれていますが、ここにも新貨物駅など新線について書かれてませんでした。

この中で神奈川臨海鉄道は、「石油だけに依存するのではなく、コンテナ貨物の取り込みを進めていきたい考えだ。」、「横浜港では本牧ふ頭と南本牧ふ頭から横浜本牧駅にショートドレージで転送した後、全国各地へ輸送できる体制を整えている。」とありましたが、新線についての言及していません。

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私見ですが、現時点での国際埠頭専用線 (構外側線) の復活及び、新貨物駅設置は難しいのかなと思ってます。

記事にある「ショートドレージ」(船から下ろしたコンテナをコンテナ貨車まで陸送する距離) いうのがポイントになっていると思います。

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2008年に本牧埠頭駅に海上コンテナ専用のコンテナホームを作って、船から下ろされたコンテナをリーチスタッカーを使って、コンテナ車 (コキ)に直接積み込みショートドレージを減少させて効率化する、海上コンテナ鉄道輸送実証実験を行っていました。

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(本牧埠頭駅での積替え作業の様子)



参考: 横浜市港湾局内、「鉄道輸送の詳細」、「海上コンテナ鉄道輸送実証実験の詳細」、「海上コンテナ鉄道輸送実証実験の詳細(PDF)

しかし、2010年3月のJR貨物のダイヤ改正で海上コンテナ専用列車が廃止され実用化しなかったというのがありました。

その後、2014年の神奈川新聞の記事で既存の石油輸送列車 (タキ) の後ろに2両の海上コンテナ車 (コキ)を付けて、横浜本牧駅 (神奈川臨海鉄道) - (JR根岸駅) - 宇都宮貨物ターミナル駅 (JR貨物) 間で輸送を始めたという記事がありました。

横浜本牧駅~宇都宮 海上コンテナが鉄路走る (神奈川新聞 2014年08月28日)

2018年現在、平日は毎日3両の海上コンテナで1日1往復輸送しています。

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このように神奈川臨海鉄道がわざわざ取扱量が少ない海上コンテナのために橋を架けて南本牧埠頭まで支線は作らないと思っています。今後、鉄道での海上コンテナの大量輸送が実現できれば新線の可能性は高くなると思います。(横浜本牧駅、新貨物駅へのショートドレージの削減による効率化)

神奈川臨海鉄道配線略図 増補版」にも『水江線の例のように「南本牧はま道路」の開通を口実にして側線を廃止・撤去することも可能であったはずであり、あえて線路を残したのは何らか理由かせあるのかもしれない。』との記述があります。
 
鉄道による貨物輸送における可能性を残すなら、南本牧埠頭内にも鉄道用の土地は確保されると思うので、今後も注視していきたいと思っています。(鉄道趣味的には新線を作って欲しいのは本音ですが)

ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました!!

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